

山之内先生!
どうしよう!?
巡回指導の通知が届いたんだけど、巡回指導って何!?
初めてだから対応の仕方もわからないよ。

巡回指導は、地方貨物自動車運送適正化実施機関が行っているもので、運輸開始書の提出後1〜3ヶ月後に訪れる事が多いです。
A〜Eまでの5段階で評価され、最も高い評価がAになります。
評価が悪いと、行政処分の対象になる場合もある為、しっかり対処しなくてはいけません。

対処って具体的にどうすればいいの?

以下より詳しく解説していきますね。
運送業許可が下り晴れて営業開始となったものの直ぐに訪れる巡回指導。
地方適正化事業が行う実施機関で、各都道府県にあるトラック協会が行っています。
また、それとは別に運輸局などが行っている巡回監査もあります。
どちらも評価が悪いと行政処分の対象になる場合がある為、しっかり対処しなくてはいけません。
以下より巡回指導と巡回監査の違い及び巡回指導対策について解説していきます。
巡回指導と巡回監査の違い
一言でいうならば訪れる方が異なります。
巡回指導の場合は、トラック協会など各都道府県にある適正化実施機関。
巡回監査の場合は、運輸局または運輸支局。
そして最も大きな違いは行政処分になる確率です。
巡回指導の場合、行政処分になる確率は0%とは言いませんが、ほぼ0に近いほど低いです。
しかし巡回監査の場合、行政処分になる確率は100%近く、最悪の場合許可取消処分に至ることも…。
「監査だけ気をつければ大丈夫だな」とお考えになるかもしれませんが、巡回指導でD~E判定を受けてしまった場合、監査対象になる可能性が高くなります!
この為、巡回指導も決して手を抜けないのです。
巡回指導とは?
行政処分の可能性も秘めている巡回指導では、A~Eまでの5段階評価で判定されます。
A判定を貰えれば、次回の巡回指導は2~3年後になるなどメリットもあります。
しかし逆にD~Eになってしまった場合、運輸局に通報され監査の対象になってしまう可能性があります。
運輸局が直接行う監査よりも優しい巡回指導ですが、侮っていると監査対象になりかねませんので、しっかり対処しなくてはいけません。
巡回指導が訪れるタイミングは運輸開始届を提出後の1〜3ヶ月後になることが多く、訪れる予定の2〜3週間前に通知が届きます。
通知には、日程及び用意するもの(書類)が記載されています。
巡回指導では以下の37項目がチェックされます。
重点的にチェックされる項目と最重点的にチェックされる項目が含まれています。
それ等に該当してしまうと監査の対象になりかねませんので要注意しなければいけません。
重点的にチェックされる項目には★印を、最重点項目は赤字にしています。
巡回指導のチェック項目
【事業計画等】
- ★主たる事務所及び営業所の名称、位置に変更はないか。
- 営業所に配置する事業用自動車の種別および数に変更はないか。
- ★自動車車庫の位置及び収容能力に変更はないか。
- 乗務員の休憩・睡眠施設の位置、収容能力は適正か。
- 乗務員の休憩・睡眠施設の保守、管理は適正か。
- 届出事項に変更はないか。
- ★自家用貨物自動車の違法な営業類似行為(白トラの利用等)はないか。
- ★名義貸し、事業の貸渡し等はないか。
【帳票類の整備・報告等】
- 事故記録が適正に記録され、保存されているか。
- 自動車事故報告書を提出しているか。
- 運転者台帳が適正に記入力され、保存されているか。
- 車両台帳が整備され、適正に記入等されているか。
- 事業報告書及び事業実績報告書を提出しているか。(本社巡回に限る)
【運行管理等】
- 運行管理規程が定められているか。
- 運行管理者が選任され、届出されているか。
- 運行管理者に所定の講習を受けさせているか。
- 事業計画に従い、必要な員数の運転者を確保しているか。
- 過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間、睡眠のための時間が適正に管理されているか。
- 過積載による運送を行っていないか。
- 点呼の実施及びその記録、保存は適正か。
- 乗務等の記録(運転日報)の作成・保存は適正か。
- 運行記録計による記録及びその保存・活用は適正か。
- 運行指示書の作成、指示、携行、保存は適正か。
- 乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行っているか。
- ★特定の運転者に対して特別な指導を行っているか。
- ★特定の運転者に対して適性診断を受けさせているか。
【車両管理等】
- 整備管理規程が定められているか。
- 整備管理者が選任され、届出されているか。
- 整備管理者に所定の研修を受けさせているか。
- 日常点検基準を作成し、これに基づき点検を適正に行っているか。
- ★定期点検基準を作成し、これに基づき、適正に点検・整備を行い、点検整備記録簿等が保存されているか。
【労基法等】
- 就業規則が制定され、届出されているか。
- 36協定が締結され、届出されているか。
- 労働時間、休日労働について違法性はないか(運転時間を除く)。
- 所要の健康診断を実施し、その記録・保存が適正にされているか。
【法定福利】
- 労災保険・雇用保険に加入しているか。
- 健康保険・厚生年金保険に加入しているか。
【運輸安全マネジメント】
- 輸送の安全に関する基本的な方針が定められているか。
- 輸送の安全に関する目標が定められているか。
- 輸送の安全に関する計画が定められているか。
- 運輸安全マネジメントの公表がされているか。
また、巡回指導までに該当書類を用意しておく必要があります。
巡回指導に必要な書類
巡回指導に必要な書類様式は任意式となります。
ご自身で作成されたもので良いですが、テンプレートが欲しい方は下記リンクから奈良県トラック協会の様式をダウンロードできます。
上記ダウンロード先からほとんどの書類が揃いますが、そちらにないものはご自身での作成となります。
必要な書類については、数が多いためカテゴリ別に解説していきます。
事業計画等
- 登記簿謄本
- 経営許可申請書
- 役員変更届書
- 事業計画事前変更届出書
- 事業計画変更事後届出書
- 総勘定元帳
- 固定資産台帳
- 経理明細書
- リース契約書
- 保険加入加入台帳
- 現金出納帳
【登記簿謄本】
事業で使用している、営業所や休憩・睡眠施設・車庫などの土地の登記簿謄本。
【経営許可申請書】
一般貨物自動車運送事業申請の際に提出している申請書になります。
【事業計画事前変更届出書】
事業開始前に、事業計画に変更があった場合に提出する届出書になります。
【事業計画事後変更届出書】
事業開始後に、事業計画に変更があった場合に提出する届出書になります。
【総勘定元帳】
全ての取引内容を、勘定科目ごとに記録した帳簿になります。
【固定資産台帳】
個々の固定資産について取得時や状況などを記録したもので、取得時の状況や減価償却の履歴を記入したもの。
※減価償却とは
長期にわたり使用する資産(住宅や車など)は、時間とともにその価値が下がる為、それに併せた期間で分割計算することを指します。
【経理明細書】
業務にかかった費用などが載っている明細書になります。
【リース契約書】
リース契約をしている場合、必要になります。
【保険加入台帳】
各種加入している保険の控えを用意しておきます。
【現金出納帳】
事業の現金の管理をするもので、出金や入金といった取引があった場合、記録しておくものになります。
事業計画等の項目で最も重要となるのが事業計画との変更点がないかです。
もし車両の種別や台数に変更が生じていたり、使用する施設の収容能力や管理に問題があった場合、改善しなければいけません。
そのまま放置しておくと監査の対象になる場合があります。
帳票類の整備・報告等
- 事故記録簿
- 自動車事故報告書(控)
- 運転者台帳
- 車両台帳(自動車検査証の写し等)
- 事業報告書・事業実績報告書(控)
【事故記録簿】
常に事故に気を付けていても、時には事故を起こしてしまうこともあるでしょう。
その際に記録しておくのが事故記録簿です。
貨物自動車運送事業輸送安全規則9条の2に基づき必要事項を記入していきます。
【自動車事故報告書(控)】
重大な事故を起こしてしまった場合、運輸局を経由し国土交通大臣に提出しなければいけません。
事故を起こしてしまった場合は提出した書類の控えを用意しておきましょう。
【運転者台帳】
免許証とは別に必要になる運転者台帳。
ドライバーの氏名及び生年月日をはじめとし、所持免許証の書類や健康状態などを記入するものになります。
【車両台帳(自動車検査証の写し等)】
車両に関する情報が記載されているものになります。
車検証のコピーなどでも可能です。
【事業報告書・事業実績報告書(控)】
毎年度提出する必要がある事業報告書・事業実績報告書。
両方の控えを用意しておく必要があります。
運行管理等
- 運行管理規程
- 運行管理者選任・解任届(控)
- 運行管理者資格者証
- 運行管理者講習手帳
- 運転日報
- 運行指示書
- 乗務基準 ※特別積み合せ事業に限る
- 運行計画及び勤務割当表
- 運行記録計による記録(タコチャート、グラフ)
- 乗務実績一覧表(拘束時間管理表)
- 点呼記録簿・点呼執行要領
- 乗務記録(運転日報)
- 運転者への指導教育計画表・同記録簿
- 適性診断受診結果表
- 運転記録証明書
- 無事故無違反証明書
【運行管理規定】
運行管理に関しての規定を定めたもの。
運送約款などを参考に作られるといいでしょう。
【運行管理者選任届の控え】
運行管理者を選任する必要があり、選任後は届出をする必要があります。
逆に解任した場合も届出をする必要があり、どちらの場合も控えが必要になります。
【運行管理者資格証】
運行管理者の資格証を用意しておきましょう。
【運行管理者講習手帳】
国土交通省が認定している実施機関で受けた運行管理に関する講習内容が記された手帳になります。
【乗務等の記録(運転日報)】
ドライバーのその日の運行業務について記すものになります。
【運行指示書(48時間を超える2泊3日以上の勤務)】
運行管理者が作成し、ドライバーに渡す書類になります。
「48時間を超える中間点呼を必要とする2泊3日以上の勤務」の際に必要になりますので、もし行っているようであれば、こちらも用意しましょう。
【乗務基準】
1台の車両に複数の依頼主から預かった荷物を載せ、定期的に全国展開で輸送を行うことを「特別積み合わせ事業」と言います。
佐川急便などが、こういった事業にあたります。
特別積み合わせ事業を行っている場合、乗務基準を作成しなければいけません。
【運行計画及び乗務割当表】
過労防止を配慮した勤務及び乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩・睡眠 時間が適正に管理されているかを確認する為の書類になります。
【運行記録計(タコチャート・タコグラフ)による記録】
車両総重量7トン以上。
最大積載量4トン以上。
どちらかに当てはまる場合、運行記録計の装着が義務付けされています。
【乗務実績一覧表(拘束時間管理表)】
ドライバーの合計出勤日数や出勤時刻・終了時刻・休憩時刻・行先など細部にわたって記したものになります。
【点呼記録簿・点呼執行要領】
ドライバーの乗務開始前と終了後に対面による点呼を行う必要があり、それを記録したものになります。
記録簿があって当然という位のものですが、万が一記録簿がない、または未記入だった場合、監査の対象になります。
【乗務員(運転者)教育実施計画表及び、その教育記録簿】
一般的な指導及び指標という全12項目のマニュアルがあり、こちらを毎月実施・記録しているかを確認する為の書類になります。
【適性診断受診結果表及び、その計画表】
特定の運転者(初任運転者・事故を起こした者・65歳以上の高齢運転者)を対象に適性診断を受けさせ、その結果を記した書類になります。
【運転記録証明書】
自動車安全運転センターで発行して貰うものになります。
警察署などで申込用紙に記入し、手数料を添えて直接センターで支払うか、郵便局で払う事で発行して貰えます。
【無事故無違反証明書】
運転記録証明書と同様、自動車安全運転センターで発行して貰います。
運行管理等の項目では、ほぼ全ての項目が重点的に見られます。
なかでも、特定の運転者に関係する内容が最重点となっている為、対象の運転者がいる事業は必ず対処しておく必要があります。
車両管理等
- 整備(車両)管理規程
- 整備管理者選任・解任届(控)
- 整備管理者資格者証
- 整備管理者研修手帳
- 日常点検基準
- 日常点検表
- 定期点検基準
- 定期点検整備実施計画表
- 点検整備記録簿(12か月、3か月)
【整備(車両)管理規程】
整備管理に関しての規定を定めたもの。
運行管理同様、運送約款などを参考に作られるといいでしょう。
【整備管理者選任・解任届(控)】
整備管理者選任をし、選任後は届出をする必要があります。
また逆に解任した場合も届出が必要となり、どちらの場合も控えが必要になります。
【整備管理者資格者証】
整備管理者の資格証を用意しておきましょう。
【整備管理者研修手帳】
地方運輸支局が開催している整備管理に関する講習内容が記された手帳になります。
【日常点検基準】
運行を開始する前に1日1回は運転手が点検を行います。
【日常点検表】
日常点検基準で規定されている内容を記したものになります。
【定期点検基準】
日常的に行う点検とは違い、こちらは定期的に行う点検基準になります。
基準内容は国土交通省によって定められているものに従って行います。
事業用で使用する自動車の定期点検は3か月ごとと決まっています。
【定期点検整備実施計画表】
定期点検基準を実施した記録などを残しておくものになります。
【点検整備記録簿(12か月、3か月)】
12か月と3ヵ月ごとに行う点検整備の記録をするものになります。
車両管理等で重点的に確認されるのは整備管理者選任についてです。
事業をする上で必ず選任している必要がありますので届出が出ていなければいけません。
また解任していた場合も届出をしている必要があります。
日々の点検や定期点検など事故と直接関りがある車両のメンテナンスについては、最重点となっており不備などが見つかれば監査の対象になる場合があります。
労基法等
- 就業規則
- 労基法36協定
- 出勤簿
- 健康診断結果
【就業規則】
会社のルールブックのようなもので従業員が9人以下の場合は不要です。
10人以上の場合作成しておきましょう。
【労基法36協定】
多くの事業が事業を始める際に労働者を代表する者と結んでいる36協定。
労働監督署に提出している書類などの控えが必要になります。
※36協定の様式は労働局での直接入手や、こちらの 奈良労働局 | 様式集(全国統一)(mhlw.go.jp)からダウンロード可能です。
【出勤簿】
出勤・退社時刻を個別に記した書類になります。
【健康診断受診結果及び、その記録簿】
ドライバーの健康診断及びその結果を記した書類になります。
労基法等では就業規則や健康診断などが重点的に見られます。
従業員の数が10人以上いるにも関わらず就業規則がない場合、直ぐに作成するようにしましょう。
またドライバーには定期的に健康診断を受けさせる必要があります。
受けた際の診断結果などは、しっかり保管しておきましょう。
法定福利
- 労災・雇用保険加入台帳
- 健保・厚生年金加入台帳
- 賃金(給与)台帳
【労災・雇用保険加入台帳】
労災保険や雇用保険に加入していることが分かるものになります。
【健保・厚生年金加入台帳】
健康保険や厚生年金に加入していることが分かるものになります。
【賃金(給与)台帳】
従業員の給与など細部にわたって記されたものになります。
法定福利では従業員の保険加入が重点的に見られます。
運輸安全マネジメント
・運輸安全マネジメント作成及び掲示
【運輸安全マネジメント作成及び掲示】
運輸安全マネジメントに掲げられている指標に基づき作成したものを掲示しておく必要があります。
平成30年から新たに項目に追加された運輸安全マネジメント。
経営者自らが輸送時の安全確保や事故をなくすことに取り組んでいるかを評価するものになり、評価が高いほど今後の事業展開にも役立てることができるので、なるべく高い評価を得られるようにしておくといいでしょう。
運輸局への通報基準
以下のケースに該当していると巡回指導から運輸局に通報が入り監査の対象となります。
最悪の場合営業停止や許可の取消といった処分も…。
そうならない為にも念入りにチェックを行いましょう。
速報事案
- 点呼を全くしていない
- 運行管理者及び整備管理者を選任していない
- 定期点検の未実施
上記3つにおいては最も重くなっていますので必ず避けるようにしましょう。
定期報告事案
- 巡回指導でE評価が下ったが3ヵ月経過しても改善されていない
- 巡回指導でE評価が下り改善を行ったが、未改善の部分があり、再度訪れた巡回指導でも改善されていなかった
- 巡回指導の拒否
- 社会保険の未加入
上記4つのどれかに該当した場合監査対象になります。
しかし、こちらの場合は即通報ではなく改善のチャンスを与えてくれる為、期間内に改善を行えば監査の対象にはなりません。
相談事案
- 名義貸し、白ナンバートラックの利用等の悪質な法令違反
- 記録の改ざん
- 巡回指導でD評価が下り、3ヵ月以内に改善がされていない
上記3つのどれかに該当した場合も監査対象になります。
こちらも改善のチャンスが与えられる為、期間内に改善を行いましょう。
まとめ
巡回指導は委託を受けた地方貨物自動車運送適正化事業を行っている為、運輸局が直接行う監査ほど厳しいものではありません。
しかし巡回指導の評価次第では、即刻監査対象になる可能性も秘めているため、巡回指導だからと手を抜かず、それまでに必要な書類を揃えD~E評価を避けるようにしましょう。
とはいえ用意する書類の数も多く、時間が作れない人も多くいらっしゃいます。
そういった方や、ご自分だけでは巡回指導が不安な方など、当事務所へご相談下さい。
サポート内容
- 巡回指導に関わる書類作成・提出代行。
- 帳票チェック。
- 運行管理アドバイス。
- その他付随する業務。
巡回指導に関わることから巡回監査に関係することまで、全力でサポートさせて頂きます。
費用につきましては、こちらの料金表からご確認ください。
また、お電話でのお問い合わせにも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。
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